17年越しの違和感

2018.01.07 Sunday 23:39
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自分が地下鉄サリン事件に全く関わっていないらしいとわかったときはやはりそれなりの衝撃があった。
そしてその時、あの時に感じた違和感を思い出した。
自分が指名手配になっていることの違和感だ。
あの作業がサリンだったのかもしれないと考えたものはあった。
しかし、その作業が仮にサリン生成の一部だったとしたら、あの人やこの人も地下鉄サリン事件で逮捕されていなければ話のつじつまが合わない。
なのにそのうちの一人は医薬品を許可なく製造したという「薬事法違反」でしか逮捕されていなかったし、あと一人は全く逮捕されていないようだったのだ。
なぜ私が指名手配されたのだろうという疑問を、私は「たまたまステージの高い人達(マスメディアで幹部とされた人)と一緒にいたからだろうか」などと考えて理由付けした。
それでも、すっきりしない違和感は残った。
もっとも、その違和感も逃げることに必死でいつのまにかすっかり忘れてしまっていた。
「サリン生成には関わっていないようですよ」
面会室で弁護人の先生はそう教えてくれた。
「ああ、それで……」
もともと、私も彼も彼女もサリン生成には関わっていなかったのだ。
同じようにサリン生成に関わっていながら「逮捕されない人」と「指名手配されている人」がいたわけではなかったのだ。
いつのまにか、自分がサリンの生成に関与してしまったんだと思い込んでしまっていたが、実際には自分は無実だったのだ。
先生は少し怒ったようにさらにこう続けた。
「裁判記録をちょっと調べただけで菊地さんがサリン生成に関わっていないってすぐに分かったのに……」
「……」の部分には、「私がわかったんだから、マスメディアだってきちんと調査すればわかったはずだし、まして捜査機関がわからないはずないよね」という言葉が続くんだろうなと私は理解した。
そして、地下鉄サリン事件で17年指名手配された後に逮捕された私は、やはりというべきか、その事件で起訴されることはなかった。
category:- | by:菊地直子 | - | -

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2020.03.01 Sunday 23:39
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